ずっと大好き…この恋は秘密 …
「どこ行くんですか?」
信号が青になり
前を向いた浅井にみのりが聞く。
「ん〜、この辺ブラブラドライブしかないかな。
台風来てるし、山の方は危ないしな。
高速も危ないから。
あ、腹減った?
何か食べるか」
みのりが浅井の言葉に
車内の時計に目を向ける。
11時47分。
お昼時だった。
「何食べたい?
パスタ、ハンバーグ、ラーメン…
この辺ならなんでもあるな」
「…でも」
みのりが戸惑いながら口を開いた。
「…知ってる人に見られたらまずいですよね?」
みのりの言葉を聞いて
浅井の時間が一瞬止まる。
「…あぁ、まぁ…
でも気にすることないから。
…それに」
「あたしハンバーガーが食べたいっ。
ドライブスルーしてどっかで食べませんか?」
笑顔で言うみのりに
浅井がしばらくしてうなづく。
「…そうだな」
浅井のハンドルを握る手に力がこもる。
…佐倉は
ちゃんとわかってんだな…
電話もかけてこないし
会いたいとも言わない。
…好きだとも
言わない。
オレを困らせると思って
きっと言葉を飲み込んでる。
…さっき
言いそうになった。
沙紀との事…
言ってどうするつもりだったんだろう…
『だから気にすんな』
オレはそんな事を言うつもりだったのか?
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