僕の彼女
その後ろには、小西先輩も立っている。


「まあ、ゆっくり考えな? 俺はいつでも相談にのるからさ」


そう言い小西先輩は優しく瀬戸さんの頭を撫でた。

今にも消えそうな声でありがとうございます、と瀬戸さんは言って席に座った。
「大丈夫? 瀬戸さん」


「あッ……全然大丈夫だよ」



瀬戸さんは僕に笑顔を向ける。

その目は充血していて、潤んでいた。


泣いた……のかなぁ?



そういえば入学式の時も、目が充血していた気がする。

本令が鳴り、担任の若木敦美先生が教室に入ってくる。



「あ-、挨拶しなくて良いカラねッ♪」


若木先生は、まだ20代らしい。

……噂だけど。



「じゃあ今からキャンプの予定を決めます。各自班に予定表を渡すので、そこに記入して下さい」



その言葉を合図に、クラスメイトがノロノロと自分の班の班長の元へと行く。

「皆-!! 元気が無いぞ!!」



若木先生が教壇の前で仁王立ちをしながら叫ぶが、クラスメイトは誰一人反応しない。




僕の班は班長が俊也なので、廊下側の机の列へ向かう。


ちなみに班のメンバ-は、僕と俊也、それに林さん、瀬戸さんである。

くじ引きで決めたんだけど、いつもの仲良しメンバ-で良かったな。


それに瀬戸さんも居るし。



僕たちの学校は、色々な行事がある。


だからあまり退屈しなくて澄む。


「一日目はどうする?」


先生から貰った予定表には

一日目……到着
二日目……キャンプ
三日目……自由行動
四日目……自由行動
五日目……帰宅


と書かれている。
四泊五日……長いなぁ。


僕たちが泊まる所は、海のすぐ側にある10階建ての最近出来たばかりのホテルだ。



「あたし海行きたいなぁ」


「じゃあ三日目は海にしよっか」


僕は林さんの意見通りに三日目に海、と書く。



「瀬戸さんは?」

「あ……四日目は自由が良いなあ」

遠慮がちに話す瀬戸さん。


ほんとに大丈夫かな?


いつもの瀬戸さんなら、必ず僕のほっぺを触ってくるのに。
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