王国ファンタジア【草原の民】
6
風読み、風走り、風切り矢、パンパスはそれらを用いてピューマを追った。
しかし、それでもピューマを捕らえることは出来なかった。
…―まだ、僕を捕まえられないの?―…
風のピューマはパンパスに言った。
…―君の父親なら、もっと早くに捕まえられたのに―…
「…!?」
パンパスには父親の記憶がなかった。
その為、パンパスはピューマの発言に驚いたのだ。
母親から聞かされていたことは、父親がいないという事実だけであり、予想だにしないところからの父の消息の手掛かりにパンパスは動揺していた。
…―どうしたの?―…
動きの止まったパンパスにピューマは話し掛けた。
「……お、お前は父さんの何を知っている?」
パンパスは動揺しながらも風のピューマに問い掛けた。
…―…?君の父親は最高の風使いだろ?―…
ピューマの答えはあっさりしていた。
「父さんが…?」
…―そうさ。風読みから風切り矢、風起こしに防風陣…、彼は何でも完璧にこなす戦士だったよ―…