王国ファンタジア【草原の民】
9
…―用意は出来たの?―…
そう言ったのは、風のピューマだった。
「ああ。」
そして、パンパスはその問いに短く答えた。
まだ見たことのない未知の世界、
世界を救う為、父の旅立ったその世界、
世界を渦巻く風は荒々しく、
今、その風は嵐となり世界をも飲み込もうとしている―。
その漠然とした感覚が、然程多くないパンパスの口数をより減らしていた。
…―パンパス、僕も付いて行くよ―…
ピューマは不意にそう言うのだった。
「……!?」
…―パンパスはちょっと頼りないし、外の世界の風は扱いにくいからね―…
不意の言葉に動じるパンパスを後目に、ピューマはそう言うのだった。
「…お前が来て、どうするって言うんだ?」
冷静さを取り戻したパンパスは、ピューマにそう聞いた。
…―んー。取り敢えずパンパスが慣れるまで、僕が風を宥めてあげるよ―…
「そ、そうか…。」
外の風が如何なるものか分からなかったが、パンパスは取り敢えずピューマの同行を承諾するのだった。