王国ファンタジア【草原の民】
パンパスの弓の腕は確かなものだった。
馬上から遠当てまで、鼠程の大きささえあれば射ぬけぬものなどなかった。
しかし、問題は風起こしだった。
パンパスの起こせる風といったら、そよ風程度のものであり、これは他の者と比べても稚拙なものであった。
風の技能がないからこそ、弓に打ち込んだということもあるが、パンパスの当面の問題は風のスキルを身につけることだった。
そして、パンパスは、草原随一の風使いである長老に、風起こしの業を教わるのだった。
長老は手始めに風起こしを見せてくれた。
長老が何気なく胸まで上げた腕を軽く前に振り出すと、その両脇にはそよ風が起こり、それは次第に大きな風となるのだった。
そして、長老は風が収まるのをみてパンパスに問うのだった。