王国ファンタジア【草原の民】
2
「お主は風の起こし方がわかるか?」
それは、余りにも根本的な質問であった。
しかし、パンパスにはそれを答えることが出来なかった。
何故なら元来、風起こしは誰かに教わるようなものでなく、草原での遊びを通して自然と身につけるものであったからだ。
「…お主には本来風起こしの素質がある。
お主は弓に秀でているであろう?
弓の腕はそのまま風起こしの力に反映されるのだ。」
長老はパンパスにそう言った。
しかし、皆目見当のつかないパンパスは長老に問うのだった。
「どういうことでしょうか?」
そして、長老は答えるのだった――。
そもそも風起こしは、風の流れを読み、それに人的な力を貸すことで強大な風を起こすものであった。
実を言うとパンパスは、この風起こしの前段階である風読みは見事にこなしていたのだ。
草原に流れる風、弓が打ち出す風、矢が穿つ風…それらを全て読めるからこそ、パンパスは弓の名手だったのだ。