王国ファンタジア【草原の民】
3
何発目かの矢を交わしたところで、長老はパンパスに向かって叫ぶのだった。
「次は掴むのだ!」
最初、パンパスは何を掴むのかすら分からなかった。
しかし、どうやらそれは、放たれた矢のことのようであり、パンパスは素直に挑戦してみるのだった。
しかし、矢を交わすのと、掴むのとではえらい違いであった。
パンパスは矢の方に向かっては行くものの、結局寸でのところで避けてしまい、掴むことはおろか触れることすら出来なかった。
「この意気地なしが!」
そして、遠くから矢を放つ長老は言いたい放題だった。
だが、その長老の言動がパンパスの集中力を研ぎ澄ましていくのだった。
それは、風起こしの劣等感から矢の腕を磨いた負けず嫌いなパンパスの性格が功を奏したと言えた。
そして、パンパスは不思議な体験をするのだった。