王国ファンタジア【草原の民】
4
草原の中、それは、そこに立ち止まりこちらを見ていた。
風を孕み、草を揺らす…。
その姿は凜として、澱みのないものであった。
「あれが…風のピューマ?」
パンパスの第一声はそうだった。
そして、それに長老は、小さく頷くのだった。
初めて対峙した風のピューマの姿に、パンパスはそれ以上の言葉を失っていた。
しかし、それは、初めての出会いという訳ではなかった。
風のピューマはいつでも草原におり、風のピューマはいつでもパンパスを見ていた。
風のピューマは風と戯れ、風のピューマはパンパスを待っていた。
そう、ただパンパスが気付かなかっただけ…。