王国ファンタジア【草原の民】
―…僕を捕まえてごらん…―
それはパンパスにだけ聞こえた声だった。
風を操り、音を伝う。
ピューマはそのようにして人と話すのだった。
そして、パンパスが我に帰った時、ピューマは既に踵を返し、草原を跳ねて行くのだった。
気の動転していたパンパスの動きは一呼吸遅れていた。
そして、やっとのことでピューマを追い始めるのだった。
この時、ピューマは既に遥か前方を行っていた。
しかし、パンパスは思いの外それ以上距離を離されなかった。
それは、風読みの力が発揮され、パンパスが瞬時に風の抵抗の少ない道を選べるようになった為であった。