王国ファンタジア【宝玉の民】
「次に気になったのは、ダンナの盗んでくる品でした…。
ダンナはたまに、間違って魔力の籠ってない品を盗んでいらっしゃる。
ちょっとした手違いかとも思ったんですがねぇ」
数回仕事のやり取りをしてるうちに、確信した。
ドルメックは魔力を感じ取れないということを。
「それを確信した位の頃だったなぁ〜。
前に一度、ダンナが妙に上機嫌で飲みに誘ってくれたことがあったでしょ〜?」
トールは、その時の話を覚えているかとドルメックに聞いた。
思い起こし、頷く。
仲間の魔石の情報が思うように集まらなくて苛立っていた時期だ。
何でもいいから気晴らしがしたかった。
それで、トールを誘って飲みに行ったのだ。
「その時話してくれた内容も覚えていらっしゃいますかねぇ〜?」
そう言って、会話の内容を話し始めた。
前にいた街のどの店の女が最高だったとか、昔旅した時のどこの名産品が美味かったとか、在り来たりな会話を楽しんだと言う。
話も尽き、宴もお開きかと思った時、ドルメックがポツリと魔石について話し始めたのだ。