王国ファンタジア【宝玉の民】
魔石には三種類あるという。
元々鉱石自体に魔力が宿っている天然物の魔石。
ただの宝石に後から魔力を注ぎ込む人工的に造られる魔石。
そして、過去の大量虐殺によって生まれた[民の雫]と呼ばれる【宝玉の民】から抉り取った魔石。
天然物と人工物は、魔力を操れる者ならば誰でも力を引き出すことが出来るという話もしていた。
しかし、[民の雫]は違う。
【宝玉の民】でなければ魔力を引き出すことが出来ないのだ。
「だから、その三種類の中で、[民の雫]だけは見分けれるんだ」
誰にも扱うことが出来ないからな。
と説明を補足し、皮肉な笑みを浮かべていた。
その話を聞いて、違和感を感じたのだ。
ドルメックは魔力を感じ取れないはずだ。
見分けなど付く訳がない。
しかし、ドルメックのその目は明らかな確信を持っていた。
絶対に見分けられると。
では、どうやって見分けるというのか?
暫く考えていた。
そして、一つの仮説が浮かび上がったのだ。
ドルメックが、【宝玉の民】である。
という仮説が…。
そして、魔石専門の盗賊[D]の存在。
以前から、情報屋の間では――盗賊[D]は【宝玉の民】の生き残りで、仲間の核石を奪い返している――という噂が流れていた。