王国ファンタジア【宝玉の民】
ドルメックは更に続けた。
「それに、道中で地図も手に入れなきゃいけないし、距離によっては馬も購入しなきゃとか考えれば早過ぎるってことはないだろ?」
その言葉を聞いて、トールは耳を疑った。
「ダンナ…王都へ行ったことがないんですかぁ?」
意外だった。
王都は、他のどこよりも物も情報も集まる場所だ。
探し物をするなら、一番最初に行くべきと言ってもいい。
そうトールが指摘する。
「王都へ行くのは最終手段だと思ってたんだ。
なんの手掛かりもなくなった時に、一番可能性があるのがあそこだろ?」
それに、と付け加える。
その当時10歳位の子供が生活していけるような生易しい場所ではないだろう、という話だ。
そう言われれば、その通りだ。
多少成長した後だとしても、盗賊ビギナーが仕事出来るほど王都の警備は甘くない。
納得してトールは頷いた。
「では、この情報は旅立つダンナへのお餞別ってことでぇ。
この街から王都へは北西の方角へ向かって下さい。
何事もなければ大体馬で10日程で到着するはずですよぉ」
情報料は無料ですと言ってニッと笑った。