王国ファンタジア【宝玉の民】
一抹の不安と王都への旅立ち
差し込む朝日と鳥の囀ずりで目が覚めた。
今日の天気も穏やかそうだ。
旅立ちには絶好の日和である。
暫く振りに引っ張り出した旅装に身を包む。
足元は金属で補強された革のブーツ。
ポケットが沢山付いたゆったりとしたズボンは防刃、防火性。
刃渡り30センチ程の反りのあるナイフはベルトで固定している。
動き易い麻の衣服の上には軽い革製のベスト。
裏側に投げナイフやワイヤー等が仕込んである。
手元は金属製の板が当てられている肘の辺り迄の手甲。
肩までの茶色い髪は後ろで縛る。
二年近く世話になった部屋を振り返り、汚れは無いか、忘れ物は無いか確認する。
部屋から出て、一礼した。
階段を降り、一階の居間へ向かう。
マーリィと、ご主人のカッツェが待っていた。