王国ファンタジア【宝玉の民】
「…!…っな、きさ「うるせぇな」
宰相の怒りの言葉を遮り続けた。
「俺を呼び付けたのは国王陛下とやらで、お前ら腰巾着じゃない。
部外者は引っ込んでろ」
立場をわきまえない言動に、叱責の台詞を発しようとした宰相。
それを遮り、国王が話始めた。
「良いのだ。
何を言われても、言い訳など出来ぬ。
【宝玉の民】が受けた仕打ちも、
国の為とは言え、それを利用して呼び寄せたのも、
紛れもない事実なのだ」
そこまで言うと、右手を上げた。
それを合図に布で覆われたワゴンが運ばれて来た。
ドルメックには、言われなくても分かった。
(……あぁ、皆の鼓動が聞こえる…)
懐かしい感覚に、涙が出そうだった。
「これが、約束の品である。
我が城にあるのは全部で29個。
内半分の15個を今、そなたに渡そう。
戦う時に使うが良い。
残りの[民の雫]は、補充が必要になった時に渡してやろう」
血が逆流するようだった。
一瞬の早業で国王の顔数センチを横切り、投げナイフが椅子に突き刺さる。
その場に居た全員が凍り付いた。
「…補充、だと?
そこに居るのは俺が命懸けで守ろうとしている仲間達だ。
気安く物扱いしてんじゃねぇよっ!」
暫く、その場の誰もが動けなかった。
それ程、ドルメックの気迫は凄まじかった。
「…っな、なんと無礼な!
もう良い、この者を引っ捕らえよ!」
一番最初に我に返ったのは、国王の隣に控えた宰相だった。
近くに居た兵が動き出す。
投げナイフを取り出し嘲笑するドルメック。
「動くなよ。お前等が俺を捕らえる前に、俺のナイフが主君の眉間を捉えるぞ。
それに、無礼はどっちだ?
人様の命を弄びやがって…」