たんぽぽ
あたしには
“お父さん”
と呼べる存在がいない。
あたしが5歳くらいの時にどこかに消えてしまった。

そのため、お母さんは仕事が倍以上に増え、パートや、夜の仕事もかけもち。

何度も繰り返される転校。
あまりの忙しさにお母さんは仕事がないときは、いつも寝ていた。

もちろん学校行事に来たこともなければ、
手作りのお弁当なんて食べたことがない。

忙しいのは、小さいながらにわかっていたつもり。
だからわがままなんて一切言わなかった。

欲しいおもちゃがあっても指をくわえてただ、眺めてるだけ。


なんとなく中2から悪くなり始め、授業をサボったり髪を染めたりした。

それでもお母さんは何も言わない。
きっとあたしに興味がないんだろう。

うるさく言ってくるのは学校くらいだった。
でもその学校も中3になったときにはもうどーでもいいって感じだった。
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