王国ファンタジア【ララミーの民】
「ダイヤモンド、何んで独り言言ってるの?」
なずながタイムマシンの入り口の前で振り向いてたずねる。
「黒猫さんがお話してるんだよ。僕はお返事したの。さっきも言ってじゃない!」
【ニャン、ニャン、ニャン、ニャン】
-黒猫ではあるが黒猫ではない。にゃーこさんだ-
「そう、にゃーこさんなの。わかった」
ダイヤモンドはなずなに
「黒猫だけどにゃーこさんって名前なんだって」
言う。
なずなは入り口のボタンを押して開けてから
「にゃーこさん、じゃそういうことにしましょう。さあ、どうぞ」
なずなはダイヤモンドの妄想だと思っているようだ。
なずなはタイムマシンの中に入ってにゃーこさんを手招きする。にゃーこさんの後ろにはダイヤモンドがいる。
二人にはさまれて逃げ場のなくなったにゃーこ.さんは(タイムマシンに乗るつもりはまったくない)後ろ足に力を込めてジャンプしてダイヤモンドを乗りこえ三回転して着地する。
オリンピックだったら10点満点だったに違いない跳躍だった。
そして一目散に去っていってしまった。
近所迷惑な猫、いやネコマタ、いや妖怪である。