王国ファンタジア【ララミーの民】
キュイーン
と耳障りな音と振動が数分して止まる。
「着いた」
ダイヤモンドはシートベルトを外そうとしはじめる。
「まだよ。場所を確認してからね」
なずなの目の前のディスプレイには王国ファンタジア、ララミーの民の村の広場、×〇年と書かれていて、画面に小山の真ん中にすり鉢状になったわりと広めの広場が映っていた。
なずながじっと見つめていると小山の洞穴から人々が出てくる。
みな、背中に翼を持っているようだ。
と、なずなは一人の少女に眼を向ける。
少女の背には翼がなかった。
ララミーの民じゃないのかしら?
何か悲しそうだわね。
「なずな~、まだ~」
ダイヤモンドがしびれをきらして叫んだ。
「いいわよ。でも、外には一緒に行きましょう」
「えー、なずな行かないつもりだったの?僕は一緒じゃないと行かないもん」
なずなとダイヤモンドがシートベルトを外して外に出る準備を始める。