薔薇の王女
その瞬間アイク殿の姿が消えた。

いや、違う。俺たちの目が追いつけなかったのだ。俺たちが姿を見つけた時はアイク殿は空中にいた。

「はぁぁ!!!」

ガィン!!

その剣はフォルカの頭部目掛けて降り下ろされた。

「くっ…ぐぁ…」

フォルカは受け止めるのが精一杯で次の動きが遅れた、地面に着地したアイク殿は下から切り上げた。

肩から腰まで斜めに斬られたフォルカは呻き声と共に膝を付き倒れた。

「安心しろ、傷はそこまで深くない。しばらくは動けんだろうが、セシルこいつを縄で縛ってくれ。」

そう言うと剣を鞘に納めた。



強い、あの男が赤子のように見えてしまった。この人の強さは一体…

俺は騎士団長アイクという男の強さに背筋が寒くなった
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