薔薇の王女






「今から絶対に声を出さないこと。泣き声もだめ…いい?約束出来る?」


そう言いすっ、と指切りをする為に指を差し出す


私も指を出し



「指切りね…偉いわねレオナルド。さすが私達の息子だわ」

ニコッと優しく笑うと





ドン!!!



えっ?


お母様??


私は座席の下に押し込められその上から布をかけられた


「嫌だ嫌だ嫌だ!!お母様!!」



「レオ!!約束を守って!!これがお母様の最後のお願いだから」


「おかあ―――」


バァン!!



私の声を遮る様に扉がこじ開けられた音がし





「これはこれは…奥様お一人ですかな?確か一人息子も一緒にと…」


誰か知らない男の声がする


「残念ながら私達二人だけよ!!息子はここにはいないわ……あなた達なんかに探せやしないところにね」





ドスッ………




「うっ!!」



「おい!!この近くを探せ!まだいるかもしれん」


誰かが倒れる音がして何かが流れてくる


これは


血?


「素直に吐けばいいものを…馬鹿な女だ」


ザシュ!!!


「ああぁ!!!」


「ひっ……」


慌てて口を塞いだ


涙は止まらない


でも声だけは出さない様にベロを噛み我慢した




お母様…お父様…
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