薔薇の王女
数日前何ヶ月かぶりに実家に帰った時


両親の墓参りに行き帰ろうとした時


「久しぶりに帰って来てあいさつなしか?)


振り替えば兄のロバートが扉に背中を預けながら立っていた

そんな兄の言葉を無視しながらテーブルに置いている上着に財布を手にとり

出ようとすると


「お前もガイ兄貴と同じ道を歩むのか…?」


その言葉に身体が止まる


「俺達のラインド家は代々王家に仕えてきた、親父も今の騎士団長だったな…」

「俺は兄貴とは違う」


「そうさ!お前は親父でも兄貴でもない!その二人にすら追いつけなかったんだ、そのお前が兄貴みたいに名誉の死を選ぶのか!?」



ロバートが言ってることは間違いない


俺は親父にも兄貴にも追いつけず


結局は永遠に追いつけなくなった


「俺は死なん。守らねばいけないあの方がいるかぎり」


そう言い残し扉に手をあて開ける


外の冷たい空気が中に入り


「身体大事にしろよ兄貴、この家を守ってくれ」


扉を閉めた





「俺は死なん…か、死ぬなよセシル」


たった一人の弟だからな


秋の寒い風が窓を叩きガタガタと音がする


たった一人の弟の身を案じながら俺はいつもの生活に戻った
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