夢見な百合の花
ジャッジタウンでのケンカで痛めた俺の脇腹…ほとんど治りかけてはいたが、完治はしていない。

それを解った上で、俺の脇腹を責めてきている。

その攻撃でハヤトの覚悟が良く解った。ハヤトは覚悟を決め、俺を殺しにかかっている。

弱点を突く…一見卑怯の様に見えるが、そうではない。弱点を突くのは当然であり、ケンカでは紛れもない正義。

決して卑怯ではないのだ。

サンドバッグになるつもりはない俺は、反撃に転じてはみるが、ほとんど攻撃はハヤトに当たらなかった。

右の脇腹が、ほとんどオシャカになっている俺は、右腕でのパンチが打てない状況で、それはハヤトも承知であったために、攻撃が単調になっていたからだ…。

そんな俺に対しハヤトは、一通り脇腹の攻撃が終わると、意識を刈り取る為か、顔面への攻撃にチェンジし始めた。

ミドルレンジから素早いパンチを、コンパクトに俺の顔面に集め出す。何とかガードは出来てはいたが、俺の体力が限界に近づき始めていた。

脇腹の痛み以上に、喉を蹴られた時の痛みが尋常ではないのが原因である。

正直うまく呼吸が出来ない。俺の予想以上に喉の怪我が尾を引いてきたのだ…。

あのハヤトが顔色を変えた一撃だ。そうとう手応えがあったに違いない…今の俺は、声がうまく出るかすら、解らないぐらい喉に違和感を感じていた。

そして……。

「あ……ぁ…ぜぇっぜぇっ…」

俺は地面に腰をおろしてしまった。

呼吸が苦しい…うまく息が出来ない。
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