夢見な百合の花
ハヤトは遠慮気味に、俺にサヨの事を聞いてきた。

「サヨは俺の事を覚えてなかったよ…でもそれは覚悟の上だ。俺は諦めねぇよ…どうにかして、サヨの記憶を戻すカギを見つけてやるさ」

「そうか…頑張れよヒサジ。俺も何とか、ジャッジタウンをまとめてみせるからよ…それはそうと、勉強に困っているなら、マリコに今度聞いといてやるか?アイツは、学年で一番成績が良かったから、力になるかもしれねぇぞ?」

マリコちゃんか…。確かにマリコちゃんは、勉強が出来そうなイメージがある。

マリコちゃんはハヤトの彼女でもあり、俺も最近お世話になった人物だ。マリコちゃんはこの夏、ハヤトを追って、ジャッジタウンに来て俺らの身の回りの世話を引き受けてくれた女の子だ。

背が小さく、可愛らしい容姿をしているマリコちゃんは、あのハヤトがたまに気後れするぐらい、気が強い一面もあるが、非常に正確が良く、良い奥さんになるタイプである。

そして料理の腕は超一流である。…ちなみに不良ではない。

「…それは有難いけど、何かマリコちゃんに迷惑だろ。今は自分で何とかしてみせるよ…ホントにどうしようもなくなったら、助けてもらうかもしれないけどな」

初めから、誰かに助けを求めるのはどうかと思うしな。やるだけはやってみせるさ…。

「まぁ、勉強はほどほどに頑張れよ?俺達の体は、勉強には不向きなんだからな?」

「…それは、身を持って今、痛感しているよ。それじゃあまたな…」

「あぁ…またな」

俺は電話を切ると、改めて机に向かい合った。勉強に不向き頭でも、俺はやらなくちゃいけない理由があるから…。
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