夢見な百合の花
「それじゃあ俺はこれで失礼します…」

俺の要件はこれで済んだことだし、教室に帰る事にした。

「待ってくれ…」

だが、俺が帰ろうとすると、タクヤが俺を呼びとめた。横になった状態を起こし、ベッドに腰を下ろす…。

「…イサミには気をつけろ。今度は恐らくお前を狙ってくるはずだ…」

「イサミ君…また彼なの?」

保健の先生は頭を抱えながら、イサミと言う名を呟く。どうやら、アイツはこの学校の問題児のようだ。

「心配はしなくていい…俺はケンカを売られても買わないから」

「当り前よ!そんな身体でケンカなんてしたら、今度は無事じゃ済まないわ。最悪、二度と動けなくなるわよ…」

保健の先生はそう言うと、俺の前に立ち、腕を組みながら言ってきた。

「いい!イサミ君には私からきっちり言っとくわ…だからヒサジ君は何も心配をしなくてもいい。それでももし、ケンカになりそうなら、すぐに逃げなさい。そして私に必ず伝えて…その時は必ずこの学校から追い出してあげるから」

追い出す…か。

「そうですか…俺はアイツがどうなろうが知った事じゃない。でも一つ聞かせてくれ…学校を追い出した後、アイツはこの先どうなると思いますか?」

「…どういう意味?」

保健の先生は俺の返答にかみついてきた。俺はなおも言葉を重ねた…。
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