夢見な百合の花
俺は教室に戻った後、何をするでもなく、自分の席でじっとしていた。

周りの生徒は、残り少ない休み時間を存分に楽しんでいる様に見える。トランプをしている奴も居れば、取っ組み合いをしているアホも居る…。

全てが俺には平和に見える。当人達は感じていないだろうが、俺には幸せそうに見えるんだ…。

悩みなんて何もなく、ただひたすらに毎日を楽しんでいる…それが妬ましくもあり、羨ましくも感じる。

そして時間は過ぎ、休み時間は終わった。

時間は進み、今は英語の授業が始まっていた。例に従って、俺の英語の知識はbe動詞で終了している。

真剣に授業に向き合ってはみたが、全く解らない…。

俺は、次第に授業を受ける気にもなれなくなり、何気なく外に目を向けると、面白い光景が広がっていた。

複数人の生徒が縦横無尽に走り回っていた。それを、2人の先生が必死に追いかける…追いかけられている生徒は何とも楽しそうに俺の眼には映った。

しかもこいつらは俺の見た事がある人物。

先生から逃げ回っているのは、昼休みに体育館裏でケンカをしていたイサミとその取り巻きだった。

大体察しはつく…あの保健の先生がケンカをしたイサミを説教しようとしたが、アイツ等が逃げ出したんだろう。
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