夢見な百合の花
かなり良いタイミングだ。これで厄介事から脱出出来る…今のところはな。

「別に良いぜ。仕事に行く途中だから、ついでに送ってやるよ…それよりこの子達は良いのか?」

「構わない…知らない奴だからな。」

「はぁっ!?」

俺はそう言って、バイクのケツに跨った。イサミ達は、そんな俺をバイクから降ろそうと、俺の所に来るが…。

「ちょっと待て。ヒサジに何するつもりだ?」

カズヤがイサミに呼びとめる。イサミはその声に反応し、カズヤに言い返した。

「それは…」

だが、言葉が続かない。何かっていう理由がないから…。

「様がないなら俺達はもう行くぞ。それとこれだけは言っておく…」

カズヤはイサミを見下ろしながら、言葉を被せた。

「俺は、ヒサジの兄貴変わりでな…アイツに何かした時は俺が許さん。その時は覚悟しておけ…」

カズヤはそう言うと、自分のバイクに跨り、スロットルを開け、アクセルを軽く吹かした。その後、何事もなかったかの様に、走り去っていった…。

その後ろ姿を、イサミは悔しそうな表情で見つめていた。

サヨも女の子にしては背が高い方であり、カズヤも当然背が高い。そして、イサミより年上であり、体格もそこそこ良いのだ…。

そのハンデもあり、イサミはカズヤに何も言い返せないでいた…。

そんな自分が腹立たしいのだ…。
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