夢見な百合の花
気づいた時には後の祭り。サヨの反応に驚いて手を放した隙に、サヨは小走りで走り去って行った…。

それはもう、無我夢中で…。

サヨの走り去っていく様子は、誰がどう見ても、危険な人間から逃げている様に見えた…。

危険な人間…まさしくそれは俺の事だった。

中庭から必死に逃げてきたサヨを、他の先生が驚いた表情で見つめている。

そして無事に保護されたサヨは、誰とも知れない男の先生に抱きつき、小刻みに震えていた。

俺のこの時の心情は、非常に冷静なものだった。自分でも驚くぐらいに…。

今の一連の俺の行動と、サヨの行動…非があったのは誰が見ても明らかだ…。

間違いなく俺が悪い。俺がサヨを傷付けた…またしても。

もう二度と傷つけないと誓ったのに…。

サヨを守り切る自身をつけて、こうしてこの町に帰って来たのに…。

俺は……。

「…人間は変わる事が出来ない…のかもな」

良くドラマやドキュメンタリーとかのテレビで見る出来事。愛している上に傷つける事件…守りたかったのに、いつの間にか愛する人を傷つけ、犯罪を犯す。

今までは他人ごとに感じていたが、俺も……同類なのかもな。
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