夢見な百合の花
俺は静かにベンチから立ちあがる、そしてサヨの逃げて行った、中庭の出口に向かって歩き出す。
俺がちょうど出口から出た頃には、騒ぎを聞きつけてやって来た、柏木先生と鉢合せる。
「何があったのヒサジ君!?これは一体…」
男の先生から、サヨを引き受けた柏木先生は、サヨを優しく抱きよせながら、俺に問いかける…。
サヨはというと、俺の存在に気づき、ひどく怯えた表情をしていた。
そのサヨの表情を見て、俺は初めて表情を曇らせたと思う。俺はそのサヨの顔をいつまでも見ている事が出来なくて、俯いてしまう…。
「…見ての通りです。俺がサヨを傷付けた…それだけなんです」
俺は柏木先生に一つ、礼をすると、病院の出口に向かって歩いて行った。
「ちょっと待ってヒサジ君!言っている意味が解らないわ!何が起こって、こんな事になったの?」
俺の背中からは、柏木先生の困惑した声が聞こえてくる。俺は一度足を止め、振り返る事なく、柏木先生に話した。
「俺がサヨを困らせる様な事をした。それだけです…俺はしばらく病院には顔を出しませんから。サヨの事をお願いします…」
これだけ話し、俺は逃げる様に、病院を後にした。
しばらくはサヨに顔を出せない。サヨを怖がらせる結果になるから…でも。
「…サヨの心の鍵は必ず見つける」
これだけは投げだす訳にはいかない。それが、俺の『最後』の責任だからな…。
俺がちょうど出口から出た頃には、騒ぎを聞きつけてやって来た、柏木先生と鉢合せる。
「何があったのヒサジ君!?これは一体…」
男の先生から、サヨを引き受けた柏木先生は、サヨを優しく抱きよせながら、俺に問いかける…。
サヨはというと、俺の存在に気づき、ひどく怯えた表情をしていた。
そのサヨの表情を見て、俺は初めて表情を曇らせたと思う。俺はそのサヨの顔をいつまでも見ている事が出来なくて、俯いてしまう…。
「…見ての通りです。俺がサヨを傷付けた…それだけなんです」
俺は柏木先生に一つ、礼をすると、病院の出口に向かって歩いて行った。
「ちょっと待ってヒサジ君!言っている意味が解らないわ!何が起こって、こんな事になったの?」
俺の背中からは、柏木先生の困惑した声が聞こえてくる。俺は一度足を止め、振り返る事なく、柏木先生に話した。
「俺がサヨを困らせる様な事をした。それだけです…俺はしばらく病院には顔を出しませんから。サヨの事をお願いします…」
これだけ話し、俺は逃げる様に、病院を後にした。
しばらくはサヨに顔を出せない。サヨを怖がらせる結果になるから…でも。
「…サヨの心の鍵は必ず見つける」
これだけは投げだす訳にはいかない。それが、俺の『最後』の責任だからな…。