夢見な百合の花
俺が疑問の表情を浮かべ、女の子が、保健室から出ようとすると、保険の先生が帰ったきた。

「…?どうしたのサヤちゃん?どこに行くの?」

「っ!?」

サヨ?…って言ったか?

「…家に帰ろうと思いまして」

「ダメよサヤちゃん!折角、家から出てこれたのに…あの日に逆戻りする気なの?」

…サヤ…か。俺はサ行の名前に敏感になっているな。

「それは…嫌です」

「じゃあ残りましょ?まだ、学校が終わるには、二時間もあるわ…」

保健の先生は、そう言うと、サヤと呼ばれた女の子を保健室に連れ戻した。

家から出て来れない…この子。

「引き込もり…ってやつか」

俺は、誰にも聞かれないぐらいの声量で、呟いた。当然、二人は俺の声に気付いていない。

「…ヒサジ君?何かサヤちゃんに言った?出て行けみたいな事?」

「加藤先生!?違います!…私の意志で、出て行こうと…」

保健の…もと言い、加藤先生が、俺の起き上がっている様子を見て、そう言ってきた。そして、サヤという女の子はそれを全力で否定する…。

「…出て行けとは言っていませんが、それに近い事は言ったかもしれません」

多分な…。

「言っていませんよ!ただ、私が、ヒサジさんを見ていて、それに対してヒサジさんが、何か用かって言って…そして…」

サヤちゃんは必死に、俺の事を弁護していた。声を張り上げ、加藤先生に必死に…。
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