夢見な百合の花
「えっ？」

サヤは今も対人恐怖症という病気と闘っている。そしてそれは、この世界で生きて行くには克服しないといけない病気だろう。

「俺との会話には緊張しないんだろう？…俺でも話し相手ぐらいにはなってやれる筈だからな…それで良かったら、協力するよ」

「…良いんですか？でも私なんかの為に…」

「俺は別にかまわないよ…嫌なら別にいいが…」

「そんな事ないですっ！こちらからお願いしたいぐらいですから」

サヤは、今日一番大きな声で、俺と会話をしたいと言ってきた。

「じゃあ決まりだな。俺は三年のヒサジだ…見かけたらいつでも話しかけてくれ」

「はい…私は二年生のサヤと言います。あの…よろしくお願いします！」

サヤはそう言うと、俺にしっかりと頭を下げてきた。思わず俺の顔には苦笑いが浮かぶ…。

「頭なんて下げなくて良いから。…それにこれは俺の為でもあるしな」

「えっ？最後なんて言ったんですか？」

「気にしなくて良いよ…独り言だからな」

サヤは俺の返事に不思議そうな顔をしている。

俺には、心の病気を抱えている人の気持ちを理解するのは難しい。だから俺は、このサヤという女の子との会話を通じ、サヨの心を開く鍵のヒントを探そうと思った…。

それで、サヤの対人恐怖症の手助けにもなるなら、俺としても悪い気はしないからな。

それに、自信もつけられる…。
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