夢見な百合の花
そして俺はこの後、サヤと加藤先生を交え、適当に日常会話をしたんだ。

サヤは基本的に聞く専門で、自分からはほとんど話さなかったが、結構楽しそうだ。俺も、そんなにおしゃべりの方ではないが、出来る限りの話題を振る努力はしたんだ…。

でも、加藤先生には勝てなかった。経験豊富な女性は話題も豊富だって事を身をもって目の前で見た気がする。

適当に時間をつぶした俺は、授業を受ける為に、教室に戻る事にした。

「ヒサジさん…今日はありがとうございました。とても楽しかったです…」

サヤは律義に椅子から腰を上げると、俺にしっかりとお礼を言ってきた。

「礼を言われる様な事はしていないよ…それじゃあな」

俺は片手で軽く挨拶をした後、保健室を出た。休み時間はもうすぐ終わる時間なので、外で遊んでいる生徒が、保健室の前を通って行った。

俺も彼等の後について行く様に、教室の前まで歩いて行くと…。

めんどくさい奴等が、教室の前に居た。

「何所に居たんだお前…結構探したんだぜ」

学校の問題児のイサミと、仲間であろう男が一人…この前と違って、今回は二人だけだ。

「…はぁ……何か用か？」

俺はこの光景を見て、思わずため息が出た。こうも二日連ちゃんで、待ち伏せをされると、ため息しか出て来なくなる。

他の生徒はイサミの存在に、恐怖を感じているのか、俺とイサミの間に居た人は、外にはけていった。

それもそのはず…イサミは俺のため息に対して、完全にキレていた。

「てめぇ…俺の顔を見てため息つきやがったな！どこまでナメ腐ってるんだコラ！！」

イサミは勢いよく俺に向かって走り寄ってきた。イサミの拳にはアリアリと俺を殴るという意思が感じられ、俺に殴りかかってくる気が満々のようだ…。

渾身の力を振り絞った、右ストレートが俺の顔面めがけて飛んでくる。

だが…ありきたり過ぎる。
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