夢見な百合の花
俺は一週間経った今でもはっきりと覚えている…俺の顔を見て、恐怖で泣いているサヨの顔を…。

あんな顔は二度と見たくもないし、させたくもない…助ける事が出来ないのなら、俺は……傷つけない事を選ぶ。

その覚悟を決めた一週間だった。

そして、俺の穏やかで、息苦しい時間は急遽終わりを迎えた…。

授業が終わったある日、俺は担任に呼び出されたんだ。俺は職員室まで連れて行かれ、先生の机の前まで行く。

先生の机の前には、あるえない量のプリントが置いてある。

「随分待たせたなヒサジ。やっと完成したんだ…」

「…何を…ですか?」

一体何が完成したのかが解らない。俺の反応を見た先生は、ガッカリした様な表情をする。

「忘れたのかヒサジ?補習の代わりだよ…前に言っただろ?先生が何とかするって」

「あぁ…思い出しました。何か用意するって言ってましたね…まさかこのプリント」

嫌な予感がする。でも、二年間の量の勉強なら…あり得る。

「ヒサジの想像通りだ…このプリントを今日からやってもらう」

この、タウンページみたいな量のプリントをか?…冗談きついぜ。

「…マジかよ」

「マジだ。五科目の量だからな…これでも、省いた方だぞ?」

冗談きついぞ。二年間のブランクはこんなにキツイのか…。マジであり得ねぇ…。

「このプリントを三か月分で、分けてある。今日から毎日家でやってくるように!話は以上だ!健闘を祈る!」
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