夢見な百合の花
最初に俺の眼に飛び込んできたのは、サヨの横顔であった。
病室に置いてあるベッドに腰掛けながら、窓の外をただ眺めているサヨ。その手には、カズヤがプレゼントしたのであろう、ぬいぐるみが握られている…。
俺の足音に気づいたサヨは、こちらに視線を送ってきた。綺麗に整えられた眉を、上につり上げ、首を傾げる動作をしながら、俺を不思議そうな表情で見ている…。
そんな中、俺の後ろからカズヤが姿を現すと、サヨの表情が一変した。
サヨの表情には、俺を見ていた時とは違い、明かな喜びを感じさせる様な、表情の変化をしていた。
サヨは、座っていたベッドから降り、小走りをしながら、俺の横に立ったカズヤに抱きつく。カズヤはそんなサヨと茫然としながら立っている俺を、複雑そうな表情で交互に見ていた。
「…良い子にしてたかサヨ?」
カズヤはサヨの頭を撫でながら、きわめて優しい声音でそう問いかけた。
サヨは、カズヤを見上げながら、笑顔で頷くと、カズヤの手を引っ張り、病室の奥に連れて行った。
その様子を俺はただ茫然としながら見ている事しか出来なかった。
そう…サヨは、カズヤの存在に気付いてから、今に至るまで一度も俺に視線を送る事はなかったのだ。俺の存在を完全にシャットアウトしている。
病室に置いてあるベッドに腰掛けながら、窓の外をただ眺めているサヨ。その手には、カズヤがプレゼントしたのであろう、ぬいぐるみが握られている…。
俺の足音に気づいたサヨは、こちらに視線を送ってきた。綺麗に整えられた眉を、上につり上げ、首を傾げる動作をしながら、俺を不思議そうな表情で見ている…。
そんな中、俺の後ろからカズヤが姿を現すと、サヨの表情が一変した。
サヨの表情には、俺を見ていた時とは違い、明かな喜びを感じさせる様な、表情の変化をしていた。
サヨは、座っていたベッドから降り、小走りをしながら、俺の横に立ったカズヤに抱きつく。カズヤはそんなサヨと茫然としながら立っている俺を、複雑そうな表情で交互に見ていた。
「…良い子にしてたかサヨ?」
カズヤはサヨの頭を撫でながら、きわめて優しい声音でそう問いかけた。
サヨは、カズヤを見上げながら、笑顔で頷くと、カズヤの手を引っ張り、病室の奥に連れて行った。
その様子を俺はただ茫然としながら見ている事しか出来なかった。
そう…サヨは、カズヤの存在に気付いてから、今に至るまで一度も俺に視線を送る事はなかったのだ。俺の存在を完全にシャットアウトしている。