夢見な百合の花
俺が教えた?そんな事した覚えはない…。

「ちなみにはったりじゃないよ。君は確かに、この前俺達の前で言ったよ…『サヨの所に送ってくれ』ってね。忘れたわけじゃあるまい…」

送ってくれ?…まさか。

「カズヤが来た時か…」

「そうだよ。あの時、バイクで走り去る前に、『サヨ』っていうキーワードを俺に残した。何か気になって。調べてみたら…とある病院に入院している事が解った」

コイツ…サヨの病気の事を。

「何処で知った?はっきり言え…」

俺は、ヒデの胸倉を掴み、片手で持ち上げた。ヒデの身長は170cmぐらいで、俺より一回り小さい…持ち上げるのは容易だ。

その俺の態度に、ヒデの顔色が変わった。少し驚いた顔をしている…。

「ちょっとタンマ!この状態じゃ、話せないから!」

「うるせぇ…いいから話せ」

ヒデは、軽く宙に浮いた足を、せわしなく動かし、俺の脚にケリを入れてきた。俺はそのヒデのケリを受けた後、ヒデを投げ飛ばした。

投げたと言っても、後ろに尻もちをつく程度だが…。

「…ふう。人並に怒るんだねヒサジも…てっきりサイボーグだと思っていたよ」

ヒデは、強く締まっていた首元をさすりながら、ゆっくりと立ち上がる。

「そんな事はどうでもいい…どうやって知らべたんだ。病院の事は誰にも言っていない事だ…どうにも解せん」
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