夢見な百合の花
イサミの顔には、所々殴られた傷の様な後があり、変形はしていないが、この前会った時とは違う顔つきになっていた。

「良くきたなヒサジ…歓迎するぜ」

逃げる心配はないと感じたのか、今日のイサミは、いつもの好戦的な態度ではなく、薄らと笑顔を浮かべながら俺に話しかけてきた。

だが俺は、そんな気にはなれない…俺はもう敵の分析を始めているから。

「…お前は何がしたいんだ?俺に何の恨みがある?」

サヨの事まで調べあげ、こんな場所に呼び出してまで、俺とのケンカを望む…何か理由がなければ納得がいかない。

「恨みはねぇよ。だだ、俺は自分が強い事を証明したいだけだ!」

そう言うとイサミは、周りに居た人間を指差した。

「こいつ等は、俺がこの一週間でぶちのめした奴らだ!隣町の中学校に乗り込み、シバき上げた…そして俺はこいつ等に勝った!要するに俺は強いってことだ!」

両手を広げ、高笑いしながら、わめき散らす…ある種の狂気を感じるほどに。

その様子を見て俺は改めて納得した…コイツは、将来人を殺す。

もしくは自分を殺すとな…。

そっくりだ…ジャッジタウンに初めて来た、噛ませ犬とな…。

「…演説は終わったか?」

これは本来、銀二さん達の仕事だ…勘違いしたガキを現実に呼び戻すのは…。

だが今回は特別に、俺が呼び戻してやるよ…本気の力で目を覚ましてやるよ。
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