夢見な百合の花
「悪かったなヒサジ。こんな事につき合わせちゃって…」

「別に…気にするな」

俺は殴られた訳でもないしな…一方的に殴っただけだし。

「…ヒデ…俺はもうケンカはしない。だから…親父さんの所に一緒に行ってもらえないか?…俺はどうしてもボクシングを教えてもらいたいんだよ」

イサミはそう言うと、ヒデを真剣な眼差しで見つめていた。そしてその様子を見ていたヒデはと言うと…。

「…良いよ。一緒に行こうか」

楽しそうな笑顔を浮かべ、二つ返事でオーケーを出した。

そして、イサミはそのヒデの様子を見て、俺の前では初めて見る、さわやかな笑顔を浮かべていた…。

その様子を終始黙って見ていたギャラリーが居た。それは、イサミがこの一週間でぶちのめしたらしい、人間が10人…納得のいっていない様子で、二人を眺めていた。

「よぉ…俺達は、何しにここに呼ばれたんだ?」

「…知らね」
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