夢見な百合の花
するとイサミは、得意げな笑顔を浮かべながら、俺に話してくる。

「俺は手なんて出さねぇよ。お前が居るんだから、俺が手を貸す必要なんてないだろう…」

そう言うとイサミは、びくついている男達に向かって話しかける。

「ところでお前ら。一体どうするつもりなんだ?ヒサジを怒らせて…怖いもの知らずだねぇまったく」

そう言うとイサミは、男達に向かって声を荒げた。

「お前ら!一列に座れ!!」

「「はいっ!」」

男達は、イサミの言葉を聞くと急いでその場に正座しだした。流石は、この学校を仕切っているだけはある…迫力だけは、人一倍だ。

その様子を確認した後イサミは、股を広げた不良特有のしゃがみ方で、男達にガンを飛ばす。

「俺は確かにケンカは辞めたが、この学校の頭を辞めた覚えはないぜ…当然、生意気なガキにも容赦する気もない。お前ら…覚悟は出来たか?」

「…何を…ですか?」

俺もイサミが何をしようとしているか予測がつかなかった。ケンカを辞めた…じゃあ何をしようと言うのだ。

「お前等は、ヒサジを怒らせた…俺よりもケンカが強いヒサジをだ。歯の一、二本は覚悟しとかないといけねぇぞ?」

「えっ?…あの人イサミさんより強いんすか?」

イサミの言葉に、男達はざわめき始めた…。どうやら、俺が思っていた以上に、この学校でのイサミは、強いと認識されていたようだ。

その様子を見ていたイサミが俺に視線を向けてきた。そして片目をつぶり、ウィンクを俺にしてくる…どうやらイサミは三味線を弾いたようだな。
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