夢見な百合の花
その様子を見ていたイサミは、俺に向かってこそっと耳打ちをする…。

「あれは二時間コースだな…」

「あのペースで二時間か…これで奴等も懲りるだろうな」

そう思えるぐらい、加藤先生の説教には何とも言えない迫力があった。

「それじゃあ俺達は先に帰ろうか!する事もないだろうしな」

イサミはそう言うとそそくさと帰る準備を始める。

「それもそうだな。ところでイサミ…ジムには行かなくていいのか?」

そう言えば、今日はジムに行くって言ってなかったか?

「……あっ!…忘れてた。ヒデを待たせてるんだった…」

イサミは急に思い出したのか、気まずそうな顔をする。

「ヒデを待たせてんのか…ご愁傷様」

イサミの話を聞く限りでは、ヒデは怒るとかなり怖いらしい。性格や口調が一気に逆転するとか…口調が変わるのは見た事あるが、性格が逆転するところは見た事がない。

イサミは何度も見た事があるようで、軽いトラウマになっているようだ。

「まぁ、今回は事情があるから許してもらえるだろう。なんなら俺から説明してもいいしな…」

今回はイサミのおかげで、サヤが助かった様なもんだしな。今、加藤先生に説教されている男達の情報などもイサミが教えてくれたから、事前に状況を知ることが出来たわけだし。

俺に出来る事なら協力ぐらいはする。
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