夢見な百合の花
俺は洗いざらい全てサヤに話した。

ここまで話したら、小さい事を隠しても仕方がない。あの日の不甲斐無い俺の話をサヤに話した。

そして、全てが話終わると、サヤも俺も口を閉ざした。

話が終わった頃には、外も段々と暗くなっており、公園にある街灯や公園に面している道路の街灯がポツリポツリとつき始めている。

そんな静寂の中、先に口火を切ったのは、以外にもサヤからだった…。

「…あの……一つ疑問があるのですが…」

「何だ?」

俺は何かを考えていた訳でもなく、聞き言葉に返し言葉で、サヤに返事をした。サヤの言いたい事が何と無くだが解っていたから…。

俺のせいじゃない…そう、言いたいんだろうと思っていたからな。

サヤの性格を考えれば、そう言ってくるのが妥当だ。

だが、俺の予測とは裏腹に、サヤの口から出た言葉はあまりにも意外な一言だった。

「サヨさんは、本当に記憶を失っているのでしょうか?私には…とてもそうとは思えないんです」

記憶を失っていない?

「…それは間違いない。事実、俺の事は覚えていないのだからな…」

サヨはワザと記憶を失った様な事をする人間ではない…。それに、俺は目の前でサヨが壊れる瞬間を見ていたんだ。

「私が気になったのはそこなんです…ヒサジさんを覚えていないというのが、私には
どうしても引っかかるんですよ」

「どういう事だ?俺を覚えていないのが、そんなに変な事か?」

何もおかしな点はないように感じるが…。何が変だって言うんだ?
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