夢見な百合の花
危険な賭け
俺は今、電車に揺られながら、とある場所に向かっている最中だ…。

昨日、サヤからヒントを貰った俺はケイタに会いに行く事にしたんだ。そして今日はついている事に土曜日で学校が休み。

この時間は有効に使わないとな…。

あの日から二年弱の歳月が経った今も、ケイタは少年院で生活をしているらしい。ダメもとで連絡をしてみると、少しの時間ならケイタに会えると言う事が解り、俺がこうして会いに行く事にしたんだ…。

そして俺は、この事をカズヤに黙って来る事にしたんだ。それは、カズヤがケイタに会う事に軽い抵抗を感じていると思うし、ケイタはケイタで、カズヤを気にして本音を聞き出せないと思ったからだ。

ケイタにとって、俺はほとんど他人に近い存在だ。俺みたいな人間の方が、少しは話しやすいと考えての行動である。

その後、俺は何本か電車を乗り継ぐと、駅を出る。そして、駅員に目的地へと行けるバスを教えてもらい、そのバスに乗る…。

そして、人気の少ない所に出ると、その場所があった。

俺の予想とは反し、割と綺麗な外観をしているこの町の少年院…。

『慈愛学園』

未成年の更生や、出た後の世話なども親身に行ってくれるらしいこの少年院にカズヤは居る。俺は、警備をしている人に、事情を話すと、中に案内してもらった。

そして、俺の案内をしてくれるらしい、係りの人の所に連れて行ってもらったんだ。

「初めまして、私はここで働いている、安藤といいます」

安藤と名乗るこの人は、俺を笑顔で迎え入れると、会釈程度に頭を下げてきた。
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