夢見な百合の花
まぁそれは、会ってみれば解る事だがな…。

安藤さんの後に続き、俺はある場所にたどり着いた。そこは、客間みたいな所で、簡単なソファーやテーブルが置いてある場所だった。

安藤さんは、ケイタを呼んで来ると言い、何処かに出かける。そして、俺は客間で一人ケイタの到着を待つ…。

そして、五分もしないうちに、客間のドアが開いた…。

安藤さんの後に続き、短髪のケイタが姿を現し、その後ろに青いスーツを着た男の人が二人ほど部屋に入ってきた。

安藤さんが俺の近くに立ち、ケイタが向かいのソファーに深く腰かけると下を向いた。そしてスーツを着込んだ二人は、ケイタの両サイドに立った。

「ヒサジ君、済まないけど話が終わるまで、私達は同席させてもらうよ。一応規則なのでね…」

「はい…それは構いません」

俺も、二人きりで話が出来るとは思っていない。あまり聞かれたくない話をするのだが、これぐらいは我慢しよう。

俺は向かいに座るケイタに視線を送ると、話を始めた。

「やぁ、ケイタさん…俺の事覚えているかい?」

ケイタは俺の声を聞くと、俯いていた顔を上げ、軽く笑い顔を浮かべる…。

「あぁ…覚えているとも。頭カチ割られた、あの時の少年だろう?随分と大きくなったじゃないか…ところでサヨちゃんは元気かい?」

ケイタはそう言うと、何も悪びれる事なく、薄ら笑いを浮かべた。

その言葉を聞くと同時に、俺の血管が一、二本切れた音が聞こえた様な気がした。それぐらい、俺の中でどす黒い邪悪な感情が芽生え出していた。

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