夢見な百合の花

俺は、どんな手を使ってもケイタから話を聞き出すつもりだからな…。

「そうですかい。別に俺は話してもいいけどね…減るもんでもないしな」

そう言うとケイタは、思いだす様な口ぶりで話しをしだした。

「あの日、君からサヨちゃんを誘拐し、俺達はあの廃ビルに向かったんだ…」







「ヒサぁ！ヒサがぁ……」

サヨは大した抵抗を見せる事なく、ケイタ達に連れ去られていた…。

ただ、ヒサジの名をひたすら呟き、大粒の涙を流しながら、ヒサジの身を安じているかの様な言動を口にするだけだった。

「うるせぇな！あいつはもう死んだんだよ！だからピーピー泣くな！」

ヒサジを後ろからモンキーレンチで殴った男が、サヨの声に反応し、苛立ちを隠す事なくサヨに怒鳴り散らしていた。

だがサヨは、そんな大声にも反応する事なく、ヒサジの名を口にする。そんなサヨの様子が気に入らなかった男が、サヨの頬を大きく引っ叩いた。

「うぅ…ヒサぁ……」

サヨは殴られた頬を手で押さえながらも、ヒサジの名を口にする。

「待て待てバンちゃん！女の子には優しく接しないと…こんなに可愛い女の子なんだしさ。顔を変形させちゃったら、後の楽しみが半減するだろう？」