夢見な百合の花
別に、車の中に乗っていた男は、サヨの顔を見ながら下品な笑い声を上げる。

「お前も好きだな…こんなガキ相手に何を考えてんだよ。コイツはカズヤを地獄に陥れる為の道具なんだからよぉ…ヤルんなら後にしろよ？」

下品な会話をなおも続ける二人。そんな中、ケイタは冷静にサヨの様子を確認し、何やら考えている様な表情をしている。

サヨはというと、唇から少量の血を流し、叩かれた頬は薄らと赤く腫れていた。そして、その赤くなっている頬の上を、涙がとめどなく流れていた。

その様子をしっかり確認した後、ケイタは何やら運転している人間に指示を出していた。

車は目的地である廃ビルに着くと、ケイタは行動を起こした。後部座席で大人しく座っているサヨ話しかける。

「ごめんねサヨちゃん。外で騒がれると面倒だからさ…少し我慢してな？」

優しい口調でサヨに話しかけるケイタ。だが、ケイタの行動は非常に荒っぽかった…。

サヨの返事を聞く前に、口の周りをガムテープで覆い、その上から着ていた上着を被せる。そして、強引に車からサヨを下ろすと、廃ビルの中に引っ張って行った。

そんなケイタの行動に、サヨは大きく抵抗しだした。

大きく手足をバタつかせ、必死にうめき声の様な声を上げる。

そんなサヨを周りのケイタ以外の人間が爆笑しながら、ケイタの後を着いて行く。ケイタはビルの奥の奥…声が外に届かないであろう、廃ビルの三階にあるひらけたホールの様な場所にサヨを連れて行った。

ケイタはその場所にたどり着くと、被せていた上着を取り、口を覆っていたガムテープを強引に剝ぎとった。

ようやく視界が見える様になったサヨは、かなり動揺しているようで、呼吸音がおかしくなっていた。小さく呼吸を繰り返し、自分の体を自分の腕で強く抱き締めている。
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