365回の軌跡
「今じゃあの子も遠くへ行っちまって、一年に一回帰ってくりゃいい方さ。でもあの人はこの桜が咲いたら今でも来てそうな気がしてね。ばあさんは何か嬉しいんだよ。家族を繋げてた桜なんだよ」
私はウメばあさんの話を聞きながら、桜を見つめた。ウメばあさんの旦那さんはきっとロマンチックな人だったんだろうな。桜の木は春のそよ風に揺られて気持ちよさそうに花びらを漂わせていた。
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