365回の軌跡
「来た来た!宮川さん!」
「こんにちは!調子どうですか?」
佐々木さんのお宅に訪問した。オムツ交換の時間だ。
「宮川さんに言おうとしたのよ!今日お昼、昨日より沢山食べれたの!それが嬉しくて!」
佐々木さんは癌が進行し、食事も今やほとんど食べれなくなってきた。それでも時々調子が良いときは、いつもより多く食べ、病気が快方に向かっていると思い、喜ぶのだ。
「良かったですね!その調子です!」
私はここの家で嘘が上手くなった。目は…合わせられない。
「そうね!これで段々治っていきそうな気がするわ!ねぇあなた?」
佐々木さんは旦那さんに話を振る。すると部屋の隅に座っていた旦那さんは、
「うるさいぞ!そんなに騒いだら治るものも治らん。ヘルパーさんも困ってるから静かにしてなさい」
佐々木さんは口を尖らせ
「は~い」
と気のない返事をした。子供っぽい人だ、すごく。でもだから明るいし、旦那さんと上手くやってる気がする。旦那さんはそれだけ言うと隣の部屋に入っていった。
「明日はもっと沢山食べるからね!この病気は食べると治っていくみたいなのよ」
「そうなんですか!大丈夫、明日はもっと食べて病気なんかぶっ飛ばしてください!」
私は…やはり目を逸らしていた。
「こんにちは!調子どうですか?」
佐々木さんのお宅に訪問した。オムツ交換の時間だ。
「宮川さんに言おうとしたのよ!今日お昼、昨日より沢山食べれたの!それが嬉しくて!」
佐々木さんは癌が進行し、食事も今やほとんど食べれなくなってきた。それでも時々調子が良いときは、いつもより多く食べ、病気が快方に向かっていると思い、喜ぶのだ。
「良かったですね!その調子です!」
私はここの家で嘘が上手くなった。目は…合わせられない。
「そうね!これで段々治っていきそうな気がするわ!ねぇあなた?」
佐々木さんは旦那さんに話を振る。すると部屋の隅に座っていた旦那さんは、
「うるさいぞ!そんなに騒いだら治るものも治らん。ヘルパーさんも困ってるから静かにしてなさい」
佐々木さんは口を尖らせ
「は~い」
と気のない返事をした。子供っぽい人だ、すごく。でもだから明るいし、旦那さんと上手くやってる気がする。旦那さんはそれだけ言うと隣の部屋に入っていった。
「明日はもっと沢山食べるからね!この病気は食べると治っていくみたいなのよ」
「そうなんですか!大丈夫、明日はもっと食べて病気なんかぶっ飛ばしてください!」
私は…やはり目を逸らしていた。