365回の軌跡
「旦那と若い頃よく歩いたのよ」
佐々木さんは痩けた頬をガサガサの手で撫でながら思い出した様に言った。
「この公園、こんなに綺麗じゃなかったけど、桜並木道はやっぱりあってね。結婚前によく2人で歩いたわ」
「そうだったね。手を繋いで、お前はいつも歩くのが遅かった。」
「あなたが早かったのよ」
旦那さんも私の後ろから佐々木さんの会話に入り込む。
「あの木がいいわ。」
佐々木さんが指さした木は一際大きく、古そうな桜の木だった。
「あなた、カメラ持ってきた?」
「ああ、持ってきたよ」
佐々木さんは笑顔で私を振り向くと、細い目を更に細めて言った。
「宮川さん、この桜の木の下で写真を撮りたいの。いい?」
「もちろんです。私がシャッター押しますね」
私は旦那さんからカメラを預かろうとする。
「あら、宮川さんにも映ってほしいのよ。私達にとって宮川さんは、かけがえのない人だから」
旦那さんも笑顔で頷いていた。
「でも私なんかが…」
「いいですから。あっ!すいません!写真撮ってもらっていいですか?」
向こうから来たおばさんに旦那さんはカメラを頼んでいる。
「じゃあ宮川さん、間に入って!」
私は渋々2人の間に立つとピースする。カメラを構えたおばさんが声をあげた。「いきますよ~、はい、チーズ!」
佐々木さんは痩けた頬をガサガサの手で撫でながら思い出した様に言った。
「この公園、こんなに綺麗じゃなかったけど、桜並木道はやっぱりあってね。結婚前によく2人で歩いたわ」
「そうだったね。手を繋いで、お前はいつも歩くのが遅かった。」
「あなたが早かったのよ」
旦那さんも私の後ろから佐々木さんの会話に入り込む。
「あの木がいいわ。」
佐々木さんが指さした木は一際大きく、古そうな桜の木だった。
「あなた、カメラ持ってきた?」
「ああ、持ってきたよ」
佐々木さんは笑顔で私を振り向くと、細い目を更に細めて言った。
「宮川さん、この桜の木の下で写真を撮りたいの。いい?」
「もちろんです。私がシャッター押しますね」
私は旦那さんからカメラを預かろうとする。
「あら、宮川さんにも映ってほしいのよ。私達にとって宮川さんは、かけがえのない人だから」
旦那さんも笑顔で頷いていた。
「でも私なんかが…」
「いいですから。あっ!すいません!写真撮ってもらっていいですか?」
向こうから来たおばさんに旦那さんはカメラを頼んでいる。
「じゃあ宮川さん、間に入って!」
私は渋々2人の間に立つとピースする。カメラを構えたおばさんが声をあげた。「いきますよ~、はい、チーズ!」