365回の軌跡
水曜日。私は少しお洒落をすると、傘を二本持っていこうか少し迷い、結局二本持っていくことにした。また雨が降ったら彼の傘を延滞できるかもしれない。でもそれは図々しく映るかもしれない。私は彼の傘と自分の何の変哲もないビニール傘の二本を持って外へ出た。
空は相変わらず厚い雲が張り付いている。でも少しだけ雨が好きになってきた気がした。
先週より少し遅い時間に私は彼と出会った場所に着いた。
「えっ…」
私がいつも立っていた場所に彼が立っていた。やはりスーツ姿で空を見上げている。
近づく私に彼が気づいた。
「あ、来てくれたんだね!」
途端に彼は笑顔になる。
「待ってたんですか?」
「うん、ちょっとだけね」
「私が来るかも分からないのに?」
彼はいきなり真顔になった。
「君だって傘を返してくれるために待ってたんだろ?オレだってそのくらいして当然だよ」
彼はそういうとまた笑顔になり、
「とにかく、ありがとう」
と頭を下げた。今時変わった人だな、と思った。大真面目で好感が持てた。
「こちらこそ傘、ありがとうございました。これ…」
私は彼に傘を差し出す。これで彼と縁が切れてしまうと思うと少し切ない気がした。
「確かに。ありがとう。」
彼はそう言うと一つ咳払いをし、
「もし良かったらでいいよ? 傘返してもらったお礼に食事ごちそうしちゃっていいかな?」
「え…?」
私は戸惑った。でも断る理由もない。
「いいかな?」
彼がまた聞いてくる。私は小さく頷いた。途端に彼は笑顔になる。
「良かった~!この近くに美味しいレストランあるから行こう!」
そういうと彼は私に背を向け歩き出す。私は胸が張り裂けそうなほど緊張しながら、彼の後に付いて歩き出した。
空は相変わらず厚い雲が張り付いている。でも少しだけ雨が好きになってきた気がした。
先週より少し遅い時間に私は彼と出会った場所に着いた。
「えっ…」
私がいつも立っていた場所に彼が立っていた。やはりスーツ姿で空を見上げている。
近づく私に彼が気づいた。
「あ、来てくれたんだね!」
途端に彼は笑顔になる。
「待ってたんですか?」
「うん、ちょっとだけね」
「私が来るかも分からないのに?」
彼はいきなり真顔になった。
「君だって傘を返してくれるために待ってたんだろ?オレだってそのくらいして当然だよ」
彼はそういうとまた笑顔になり、
「とにかく、ありがとう」
と頭を下げた。今時変わった人だな、と思った。大真面目で好感が持てた。
「こちらこそ傘、ありがとうございました。これ…」
私は彼に傘を差し出す。これで彼と縁が切れてしまうと思うと少し切ない気がした。
「確かに。ありがとう。」
彼はそう言うと一つ咳払いをし、
「もし良かったらでいいよ? 傘返してもらったお礼に食事ごちそうしちゃっていいかな?」
「え…?」
私は戸惑った。でも断る理由もない。
「いいかな?」
彼がまた聞いてくる。私は小さく頷いた。途端に彼は笑顔になる。
「良かった~!この近くに美味しいレストランあるから行こう!」
そういうと彼は私に背を向け歩き出す。私は胸が張り裂けそうなほど緊張しながら、彼の後に付いて歩き出した。