365回の軌跡
「私の言った通りの展開じゃ~ん!」
私は麻耶に突っ込まれた。
私の家が二人には居心地が良かったのか、あれから時々私の家にたむろする様になった。
「まさかホントに恋になるとはね…」
遥は赤い顔で私を見つめる。
「まぁね。自分でもまさかって感じ。でも何だろ。好きっていうか、まだ興味持ったって感じ」
「それか好きってことなんだよ!」
麻耶もかなりお酒が入っている。
「しかも社長の息子でしょ? 沙紀って意外にちゃっかりだね」
「違うよ!別にだからって訳ぢゃないし。」
「しかも海に行く約束までしてるし」
遥も横から入ってくる。
「っていうか、よくそんなボンボンの青年が彼女とかいなかったね!」
麻耶が言った瞬間、私は不安になった。
「そういえば、彼女いるとか聞いてない」
「え?」
二人は同時に私を見る。
「私、そういう話してなかった。そういえば彼女いるかもしれないよね?」
麻耶は大きく首を振り、溜め息をつく。遥は、
「でも沙紀を海に誘うくらいだからいないってことでしょ?」
と言ってくれた。
「…だよね」
急に暗くなる私。
「まぁ、私もそう思うよ?高い傘貸してくれるくらいだからそんな悪い人じゃないでしょ?」
私の様子を見て、麻耶もフォローしてくれた。
外はまだ蝉の鳴き声が鳴り続けていた。
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