ロ包 ロ孝
「いえ、生憎(アイニク)今日はまだ見ていませんが……事件ですか?」
根岸に依ると、ここから車で小一時間程の所に有る雑居ビルで、立て籠もりが発生しているという。
犯人は1人、人質は4、5名。消費者金融の従業員と客らしい。凶器はナイフ、人質の1人は喉にそれを突き付けられている。金利等のトラブルから恨みを持っての犯行と見られ、人質の安全を守る為にも突入しあぐねている状況のようだ。
「根岸さん。それでしたら栗原1人を行かせますけど、いいですか? 我々全員が駆け付ける程の案件ではなさそうですので」
そんな事件、【在】(ザイ)を使ってナイフを取り上げれば済む事だ。それこそあっという間に片は付く。
『ちょっと待って下さい。一応みなさんでいらしては貰えないでしょうか……』
「どうしてもご心配だと仰るんでしたら伺いますが……そうですね。正直言って、もう少し術に見合った案件が欲しい所ですね。
こういう事件にはこの術を対応させる……そんなマニュアルも作成する必要が有るようです」
根岸にそう言うとすぐ、俺達3人は現場へとタクシーを走らせた。
∴◇∴◇∴◇∴
「わぁ、凄い凄い! ねぇねぇ淳! 刑事ドラマみたいだわ?」
里美が目を輝かせ、小躍りしそうな程にはしゃいでいる。
現場の雑居ビルを取り囲むように並んだパトカー。犯人が潜むビルの4階部分を照らしている大型投光機。その周りに張り巡らされた、立ち入り禁止のテープを取り巻くように点在するマスコミ達。
そこには、現実では余り遭遇する事の無い事態が繰り広げられていた。
「ああ、ご苦労さまです」
見知らぬ小男が1人、俺達に向かって声を掛けて来た。
「あ〜っ! お久し振りぃ」
どうやら里美の知り合いらしいが……。
根岸に依ると、ここから車で小一時間程の所に有る雑居ビルで、立て籠もりが発生しているという。
犯人は1人、人質は4、5名。消費者金融の従業員と客らしい。凶器はナイフ、人質の1人は喉にそれを突き付けられている。金利等のトラブルから恨みを持っての犯行と見られ、人質の安全を守る為にも突入しあぐねている状況のようだ。
「根岸さん。それでしたら栗原1人を行かせますけど、いいですか? 我々全員が駆け付ける程の案件ではなさそうですので」
そんな事件、【在】(ザイ)を使ってナイフを取り上げれば済む事だ。それこそあっという間に片は付く。
『ちょっと待って下さい。一応みなさんでいらしては貰えないでしょうか……』
「どうしてもご心配だと仰るんでしたら伺いますが……そうですね。正直言って、もう少し術に見合った案件が欲しい所ですね。
こういう事件にはこの術を対応させる……そんなマニュアルも作成する必要が有るようです」
根岸にそう言うとすぐ、俺達3人は現場へとタクシーを走らせた。
∴◇∴◇∴◇∴
「わぁ、凄い凄い! ねぇねぇ淳! 刑事ドラマみたいだわ?」
里美が目を輝かせ、小躍りしそうな程にはしゃいでいる。
現場の雑居ビルを取り囲むように並んだパトカー。犯人が潜むビルの4階部分を照らしている大型投光機。その周りに張り巡らされた、立ち入り禁止のテープを取り巻くように点在するマスコミ達。
そこには、現実では余り遭遇する事の無い事態が繰り広げられていた。
「ああ、ご苦労さまです」
見知らぬ小男が1人、俺達に向かって声を掛けて来た。
「あ〜っ! お久し振りぃ」
どうやら里美の知り合いらしいが……。