ロ包 ロ孝
「ああ、ひとつ質問なんですが……皆さんは花粉症とかにはならないんですか? 症状が出だすと声も変わるし、術中にくしゃみなんて事も有り得ますから」

 幸い俺達は皆、元から花粉症を持っていないし、細胞活性に依り病気にもなりにくい。コンディションについてはいつも万全と言っていいだろう。

「心配要りませんよ。術の威力はいつも変わらないと考えて下さい」

 北田は最後の入力を終え、完成されたマニュアルを俺達に示した。

「ああ、ええと……こんなもんでどうでしょう。坂本さんと山崎さん、栗原さんの力量は変わらない物として演算してみました。勿論実際はこれよりも大きな力を出せる事も有るでしょうが、七割程度に考えておいた方が実際問題で無理なく運用出来ますので。後は追い追いオペレーション毎のデータを蓄積した上で改良を加えて行ったらどうかと思います。で……」

 長いっ! このまま喋らせていたら夜が明けてしまう!

俺は強引に発言をねじ込んだ。

「あっという間に完成しましたね。しかも内容も素晴らしいです。これを元に配置して頂けると効率がいいですよね」

 ろくにディスプレイを見もしないで言ってしまったが、修正は後になっても何とかなる。

「ああ、ええ、新しくエージェントとなる人達を配置していく目安にもなります。貴重なご意見を有難うございます。ああ、……」

 まだ喋る気か! ええい、そうはさせるか!

「いえいえ、解らない事は遠慮無く聞いて下さい。あ、そうだ!」

 俺はその黒いライダータイプのバトルスーツに何か物足りなさを感じていたのだが、今ようやくその正体に気が付いた。

「ああ、なんですか?」


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