ロ包 ロ孝
 地味目では有るがこのライダータイプのバトルスーツは、かなりヒーローチックに出来ている。仮面をかぶったヒーローと言えば、アレしかないだろう。

「せっかくこんなバトルスーツが有るのに、格好いい高性能バイクは支給されないんですか?」

「ああ、……残念ながら……勿論変身ベルトも有りません。あのバトルスーツはバイクに乗る為には作られていないので、もし乗ったとしてもかなり疲れてしまうのではないでしょうか」

 確かにこちらの意図は伝わったが、正直聞かなきゃ良かった。しかし、音力からの支給は無いとしても自費で買ってもいいかも知れないな。

今度里美と上野のバイク屋街にでも行ってみよう。


∴◇∴◇∴◇∴


 そしていよいよ、音力からバトルスーツが送られてきた。

「結構な大荷物だな」

 頑丈に貼り付けられたガムテープを剥がし、フタをめくって中に詰め込まれた緩衝材を取り出して行く。

北田のパソコンで見た黒いスーツの一部が顔を出すと鼓動が高鳴る。

「通販みたいでわくわくするな」

 中身を全部出し終えて試着をする。姿見の前に立ってポージングをしたが、術の都合で顔の下半分が露出しているのが気に入らない。

「黒一色の中に肌色は無しだよなぁ」

 俺はヘルメットをソファーに放り投げた。

  ヴィーィン ヴィーィン

 里美から電話だ。

「もしもしどうした? ああ来たぞ? 今着てみた所だ。そっちはどうだ?」

『聞いてよ淳。アタシ、Hカップだって言ったのに、キツイのよ? これじゃ胸が潰れちゃう』

 嘘! Hカップも有ったのかっ!

「そうか……『動き辛いと命に関わる』とか難癖付けて、作り直させろよ」


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